月はじめ早々、僕にとって衝撃的な話がこの「DANCE DELIGHT VIDEO」収録内容変更の話だった。
まず、読者の人にはこのビデオの話からしないとね。「DANCE DELIGHT VIDEO」というのはダンサー達のバイブルであるストリートダンスマガジン「DANCE DELIGHT」の映像版で内容も超ナイスなビデオです。
このビデオに出演できるというのはダンサー達にとっては夢であり、誇りにもなるんだ。
そのビデオの秋号にB-BOY達のカリスマ「ケンスイフト」や「マルシオ」(写真の2人)と日本のB-BOY達がセッションで踊るコーナーを作る事が決定し、その日本のB-BOYには「BREAKJUNKIES」が出演する事になった!ハズだったのだが...。
このコーナーの担当者が代わってしまい、キャスティング変更になってしまった。
出演する日本のダンスチームは「BREAK JUNKIES」から「スパルタニックロッカーズ」と「ワセダブレイカーズ」(赤い衣装の写真)に変更。
ちなみに「スパルタニックロッカーズ」にはBREAK JUNKIES(=FREEZE)のツヨシとジョーが入っているユニットで、「ワセダブレイカーズ」はBREAK JUNKIESのメンバーのワカタケ君(左の写真)率いるチームなのである。
これはどういう事かというと...。僕以外の「BREAK JUNKIES」のメインメンバーは皆出演はそのままで、僕はこのビデオに出演できない、という事なのだ!ガビーン!大ショック。
元々、今回のこのコーナーはB-BOY達のバトルシーンの収録なので、他のメンバーと比べてバトルの実力がない僕が出れないのは仕方がない事で、逆にその分、ダンスの上手い外人ゲストとか多く呼んだので内容的には充実するけど、僕の人権はどーなるのよー。(なぜかオカマ言葉(^^;)って感じ。
元々、僕はまとめ役というか、大体は「行動力・振り付け」を買われてチームを組む事が多い。いままで色々なTVに出たりして、人より多くコネクションを作ったおかげでダンスの仕事が他の同世代ダンサーよりは多く入ってくる。そこで僕は実力のあるダンサーを集めてショーの振り付けを作る。このパターンは非常に多い。僕が組むダンスチームは自分の知る限りの最強メンバーで構成されるので、個人個人のダンサーの実力で見ればチーム内では僕が一番ヘタだったりもするのだ。
もちろんそれは、この「BREAK JUNKIES」も例外ではない。つまり、スポーツでいえば僕はコーチ向けであって選手向けではないのである。だから、こういったショー以外のセッション的な部分では僕が出れないのは自分の実力不足を認めて納得しなくちゃいけない事なんだけど、どうも納得できない。僕も人間だもの。自分が作ったコネクションなのに同じチームでもある他メンバーが出れて僕が出れないのはキツイよ...。
●仲間がダンスをやめた
先日、FREEZEやWIND BREAKERSで僕と長い間一緒に踊りつづけた、高橋君がダンスを辞めた。彼のヘッドスピンはそれはもう凄くって、誰もが皆、ヘッドスピンは彼が絶対に日本一!と言うくらいの逸材だった。何度も止めたのだが、やめるという意志が固く、止める事ができなかった。ダンスで食っていけないからまじめに就職したい、イベントとかでクラブとか行って彼女に心配かけたくない、とか、色々理由はあるんだけど、才能も実力も僕なんかより全然あったので、本当に残念。自分がまだ名も無いダンサーの頃から一緒にやってきた仲間だからなおさらだ。
●ダンススクールオーナーと喧嘩
そして僕の中でも一番力を入れていたスクールをオーナーと大ゲンカして辞めてしまった。オーナーとは、社交ダンス出身の70才くらいのおじいさんで、やはり50歳近くも大きく離れた歳の差か色々考えた方の合わないこともあったんだけど、特に「生徒にクラブのイベントの話をするな」「聞かれても答えるな」と言われたりしたことで、ある日キレてしまったんだ。クラブのイベントを大事に思う僕にとっては許し難い事なので、このスクールに対して、ついに辞表を叩き付けてしまったんだ。
●やっとスランプ脱出か?
そんなこんなで、元気が無い時に高校の頃の後輩からお呼びがかり、地元の埼玉県幸手市の夏祭りで賞金付きの「ダンスコンテスト」に出場することになった。
本来はこういうイベントは僕なんかが出る様なものじゃないんだけど、ここんとこ続いた嫌ーなムードを吹き飛ばしたかったっていうのもあったし、賞金をゲットして高校の後輩達と皆で気晴らしに飲み明かしたいというのもあって、気分転換に出る事にした。メンバーは基本的に僕以外はほとんどが初心者みたいなものだったんだけど、構成を伊賀の忍者が甲賀の忍者と闘う、といった感じの純日本風のストーリーにしてみた。
ショーの反応は予想通りというか、このウケ狙いバレバレの忍者風ブレイクダンスのショーは大盛況で、割れんばかりの大拍手。コンテストの結果ももちろん優勝!という良い感じの幕切れとなった。
このイベントを通して、僕自身、自信回復とまではいかないけど、ダンスの楽しさをまたまた再確認できて、やっぱり僕はコレしかないんだな。と思った。
今まで、ひとつでも多く、ダンスに関わる良い仕事がしたくって頑張ってきたつもりだけど、最近少し欲張りすぎだったかも知れない。TVやビデオに出てお金や名声を得る事よりも、今回のイベントの様に小さな自己満足イベントでもいいから納得行く良い踊りを楽しんで出来ればそれでいいんじゃないかな。なんて。
最近のダンスコンテストだって、勝ち負けにこだわるよりも自分がどれだけ楽しく踊れたかが大事なんなんじゃないかな。勝者だって敗者だって、ステージに立てばその時は主役なのだから...。こんなの言い訳かな?
コンテストなんかじゃなくってクラブやストリートでただ気ままに何も考えないで好きに踊っている方が楽しいのは確かなんだよね。でも好きな事ばっかりじゃ飯は食えんし...。
うーむ。この課題は来月まで持ち越し!
(9月へ続く)
→鶴見君のHPはこちら。
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